健康食品で健康増進

１．非アルコール性の脂肪肝が増えている

肝臓の疾患に脂肪肝というものがあります。

従来、脂肪肝はアルコールの過度の摂取が原因で引き起こされることが多かったのですが、近年では、アルコールを摂取しない人でも脂肪肝になる人が増えてきています。

それは、食生活の偏りにより肝臓内に脂肪分が蓄積されることで引き起される「非アルコール性脂肪性肝疾患」と呼ばれる脂肪肝です。
この「非アルコール性脂肪性肝疾患」は、さらに、脂肪が肝臓内にたまったままで無炎症状態の「単純性脂肪肝」（通称ＮＡＦＬ）と肝炎化した「非アルコール性脂肪性肝炎」（通称ＮＡＳＨ）に分類されます。

後者のＮＡＳＨは、炎症の進行により肝がんや肝硬変の発症リクスが高まっている脂肪肝です。
肝がんは、従来、ウイルス性肝炎またはアルコール性肝炎を原因として発症することが多かったのですが、最近は、動物性脂肪の過剰摂取によるＮＡＳＨを原因とした肝がんの発症が増えてきています。

とくに、中高年を中心にしてまん延しているメタボリック・シンドローム（通称メタボ）を含めた潜在的なＮＡＳＨの患者は、国内に数百万人にのぼると見られ、新たな肝がんの発症要因として懸念されています。

２．エゴマの肝臓に対する効能

エゴマから抽出されるエゴマ油が、体にとって有益なオメガ３の不飽和脂肪酸を多く含む油であることはよく知られていますが、２０１５年に、このエゴマの効能に関するあらたな研究報告がありました。

それは、ＮＡＳＨが原因となって発症する肝がんの予防に、エゴマの種子に含まれる「ルテオリン」という抗酸化作用の強い成分が有効であると、２０１５年１０月に名古屋市立大大学院医学研究科のグループによって論文として発表されたことです。

論文によると、ラットを使った実験において、ルテオリンを摂取したラットは、摂取していないラットよりも炎症などの悪化作用が２０～３０％近く抑制され、
また、ルテオリンを摂取したラットが持つがんを引き起こす可能性のある細胞の数は、ルテオリンを摂取していないラットが持つがんを引き起こす可能性のある細胞の数の半分ほどであったと報告されています。

さらには、ラットの臓器への副作用もみられなかったことから、人間にも同様にラットによる実験の効果が期待できるのではないかと推測されています。

また、ルテリオンには脂肪を減らす作用があるとされていますが、その効果は限定的なものらしく、脂肪を減らすためにはルテリオンにのみ頼るのではなく食生活の改善を主としていくことが必要であるとしています。

ルテオリンは、ピーマンやパセリにも含まれますが、エゴマには特に多く含まれ、体内に吸収されやすいそうです。

人間への実証はこれからのようですが、健康食品としてのエゴマ油の効果、大いに期待したいところです。