肝臓の中に中性脂肪が過剰にたまる脂肪肝は、健康診断の血液検査では異常が見当たらなくても
なってしまっていることがあります。
このことを説明したテレビ番組(NHKスペシャル)が放映されていましたので、その内容をまとめてみました。
1.血液検査で肝機能の異常を知る項目、AST、ALT、ΓーGTPが正常値であっても脂肪肝(かくれ脂肪肝)になっていることがある。
また、血液検査で異常なしでも脂肪肝から肝硬変や肝臓がんに移行している人がいる。
肝機能の数値は、肝細胞へのダメージを見ているものなので、肝細胞へのダメージが少ない脂肪肝では、数値の異常が現れないことが起こりうる。
2.脂肪肝には、非アルコール性とアルコール性の2種類がある。
(1)非アルコール性脂肪肝になるメカニズム
肝臓には、食事でとった脂質や糖を中性脂肪に変えて蓄える働きと、その中性脂肪を体で使うためのエネルギーに変える働きがある。
しかし、このとき入ってくる糖や脂質が、使うエネルギーを上回ると、肝臓内の中性脂肪が過剰になって脂肪肝になる。
(2)アルコール性脂肪肝になるメカニズム
アルコールが肝臓に大量に入ってくると、肝臓はアルコールの分解に手一杯になり、それにより中性脂肪の分解がとどこおることで脂肪肝になる。
3.最近はフィビロスキャンという機器を使って脂肪肝の有無を確認できる。
超音波の反射量の強弱を数値化して脂肪肝を判断する、
肝臓の硬さも測定できる機器である。
この機器により肝臓の細胞5%以上に脂肪が蓄積した状態が確認されれば脂肪肝と診断される。
従来のエコー検査(画像検査)では脂肪の蓄積が30%以上で脂肪肝と診断されていたが、最近は、これより少ない脂肪でも脂肪肝が進行することがわかっているので、フィブロスキャンによる診断は有効である。
しかし、フィブロスキャンは、健康診断や人間ドッグでは使用されず、また現在、一部の医療機関だけにしか設置されていないので、利用できないことが多い。
よって、個人での生活改善への取り組みが重要になってくる。
4.脂肪肝になりやすい生活習慣
毎日の寝る前の食事
運動不足
毎日ジュースを飲む
の3つは脂肪肝になりやすい3大要素である。
食生活での注意点は、
とくに糖分の多い食べ物を摂りすぎないこと。
糖分は肝臓の中で中性脂肪に変わる。
ジュース(糖分のあるものは全て)の多飲は避ける。
とくに果物に入っている果糖は肝臓に脂肪をためやすい。
果物は食べすぎないこと。食べるなら夜よりも朝にする。
5.タンパク質は重要
肝臓の中にある中性脂肪はタンパク質と結合して肝臓から血液に出される。
運動をしてもタンパク質をとらないと肝臓の脂肪はなかなか減らない。
6.睡眠時間はしっかりとること
肝臓の細胞は寝ている間に修復されるので、睡眠時間は6時間以上が望ましい。
7.健全な肝臓は細胞の再生能力が高いので、脂肪肝のうちならば元の状態にもどすことができる。
肝硬変になる前に改善を行うべし。
8.最近のアメリカの研究で、脂肪肝は、肝臓だけでなく他の臓器にもがんを引き起こす可能性があることがわかっている。(とくに胃がん、すい臓がん、肺がんの発生率は健康な人の2倍以上)
9.運動は重要
脂肪肝を改善する運動としては、筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせがよい。(筋力トレーニングを最初に行うこと)
筋力トレーニングを行うことで肝臓内の脂肪をエネルギーに変えるスイッチが入り、その後に、有酸素運動を行うことで脂肪がエネルギーに変わる作用が継続すると考えられる。
筋力トレーニングは腕立てふせ、腹筋、ダンベルとかでもいいが、スクワットでもよい。
スクワットは使う筋肉量が多いでの効果が高い。
スクワットは1日10回を1セットでもよい。(ゆっくりした動作で行うこと)
有酸素運動は、早歩きで最低15分は必要。
10.脂肪肝改善が期待できる食品
(1)大豆
大豆に含まれるタンパク質に脂肪肝を改善する効果がある。
(2)コーヒー
コーヒーに含まれるカフェインが肝臓の中性脂肪を減らす。
コーヒーを1日3杯飲む人は飲まない人よりも脂肪肝のリスクが約1割低下するとの報告あり。
11.脂肪肝の治療薬は現時点(2019年3月時点)ないので、日常の食生活などで改善に努めること。
12.(Q&A)
Q⇒ 血液検査でガンマGTPの値に異常ありと判定されエコー検査を受けたが、肝臓には異常なしとの診断。でもこれって、脂肪肝ではないの?
A⇒ エコー検査は肝臓内の脂肪が30%以上あるかどうかで脂肪肝の判断をする。
しかし、実際には、これより小さい%でも脂肪肝になることから、エコー検査では判定できないことがありうる。
ここでは、ガンマGTPが異常ありとのことなので、脂肪肝になっている可能性も1つとして考えられる。
13.(Q&A)
Q⇒ 脂肪肝は遺伝するのか?
A⇒ .遺伝する。
日本人は肝臓に脂肪をためやすい遺伝子を持っている人が多い。
家族に肝硬変や肝臓がんの人がいればリスクが高い。
14.非アルコール性脂肪肝の人で肝硬変に近い人がよく見られる。
非アルコール性のかくれ脂肪肝の人が肝硬変になりやすくなっているかを知る数式、FIB4 INDEX(フィブフォーインデックス)が最近アメリカで発表された。
(肝臓の硬さがわかる)
数式に血液検査でわかるAST、ALT、血小板数を代入する。
で入力できる。
日本肝臓学会のホームページにある計算ページをクリックして自動計算できます。(一般の人でも使えるようです)
FIBー4の判定基準
1.3未満の場合 ⇒ 個人で経過観察をすること
1.3以上の場合 ⇒ 専門医による検査が必要になる
2.67以上の場合 ⇒ 4~8割が肝硬変、または肝硬変に近い状態にある
定期的にチェックすることが必要。
脂肪肝のリスクが高くてFIB4が高い人は、専門医による受診が必要になるが、
脂肪肝のリスクが高くてもFIB4が低い人は、自身での脂肪肝の改善が可能な状態にある。
15.更年期の女性は要注意
女性ホルモンには脂質を減らす作用があるが、
女性が更年期にさしかかって女性ホルモンが減ると、脂質が上がり脂肪肝になりやすくなる。
16.子供の脂肪肝も増えているので要注意
17.ダイエットでは筋肉を減らさないようにすること
筋肉は肝臓の脂肪を減らす物質を出しているので、脂肪肝の改善には必要なもの。
筋肉量を維持しながらダイエットを行うこと。
筋肉が減ると、基礎代謝が減ってやせにくくなるので要注意。
18.酒は適量にすべし。
アルコールの量が大きく影響する。
アルコール度数が高い酒を多く飲む人は肝硬変になる確率が極めて高くなる。
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